優美や風情を表す草花といえば、冴え渡った秋の静寂な野に、たおやかな姿を見せる秋草であろう。満月の光が秋草をこうこうと照らす光景は、人々を感慨にふける境地へいざない、古くから小袖・きもの・帯に数多く表し続けて今に至る。視覚で秋の清涼な気を取り入れて、暑さを乗り切ろうとする思いが、夏の期から秋草を装うようになった。